水曜日のドラマ 『キイナ・不可能犯罪捜査官』

『キイナ・不可能犯罪捜査官』第9話 最終回




捜査会議に遅刻寸前にもかかわらず、募金していたキイナ(菅野美穂)は、通勤時間で人々が
行き交う駅前で、キャーと言う悲鳴を聞く。見ると男性が上半身を炎に包まれ、倒れるのを目撃。
その瞬間を目撃していた人たちの証言によると、1人で歩く男性の体から、突然、大きな炎が
燃え出したと言うのだ。
この現象を人体自然発火現象と推測したキイナは、捜査一課の人たちに過去の事例を挙げて説明。
御手洗(草刈正雄)に人体自然発火現象の原因を問われたキイナは、人体蝋燭化現象、
リンが発生、バクテリア発酵、プラズマといくつか理由は考えられているが、
はっきりとは解明できていないという。
男性の身元は不明だったため、解剖の結果待ちとなった。
そんな矢先、キイナは、真一郎(塚地武雅)の娘・莉子(森迫永依)から、クラスの友達のことで
相談があると連絡が入り、タケル(平岡祐太)を連れて真一郎と莉子に会う。
キイナたちは、莉子から同じクラスの友達が2日も無断欠席して連絡もつかないと相談を受けた。
欠席している友達が住んでいる風見団地には、幽霊が出るとの噂もあり、キイナとタケルは、
早速、莉子と一緒に風見団地に行ってみる。すると、どの家も、新聞などが溜まっており、
中に人の気配が全くない。しかも、夜になったにもかかわらず団地内すべての家に灯が点いて
いないのだ。キイナは、人がいない…もしかして、神隠しあったのでは…。


翌日、警察が調べると、団地の全ての住民が姿を消していることが分かった。
行方不明者は、約300人。テレビ局には、『風見団地の人たちの命は預かった』との犯行声明
のような内容の文章が書かれた手紙が届けられた。
集団失踪事件の状況からテロや組織犯罪の可能性が高いと判断し、特別捜査本部が設置された。
とりあえず、津田(金田明夫)、花田(高橋良輔)、服部(東根作寿英)そして、
キイナとタケルは、団地内周辺の聞き込みや団地内の家を捜査する。
家の中は、洗濯物が干したままだったり、食事の途中だったりと長く留守にするつもりで
家を出て行った様子ではなかった。キイナは、こんな状態で突然、団地の人たちがいなくなったのは、
何かがやって来て、逃げた。例えばUFOとか…とタケルにいう。
そんな矢先、風見団地の住民のひと家族(丹下一神道寺こしお)が発見されたと連絡を受けた
キイナとタケルは、早速、その家族に事情を聞く。その家族は、親戚に不幸があって実家に戻って
いた。そんな中、テレビを見て集団失踪事件を知ったという。


特別捜査本部で、雅(沢村一樹)と御手洗が風見団地集団失踪事件の捜査会議を仕切り、
雅が捜査員たちに現場の状況を第一発見者であるキイナから報告があるという。
だが、自分が呼ばれたことも気づかなかったキイナは、タケルに言われてからようやく気づき、
あたふたする。
そんなキイナは、捜査員たちの前で説明することになり、緊張のあまり手と足が一緒になりながら
前に出て行く。大勢の捜査員たちの前に立ったキイナは、かなり緊張してどもりながら現状を説明。
だが、徐徐に平常心を取り戻していった。
風見団地は、312人が居住。無事が確認されたのは、出張や旅行などで家を留守にしていた7人。
よって行方不明者は305人。8日の日曜日に自治会主催の映画鑑賞会が公民館で行われていて、
その会にほぼ全ての団地の住民たちの参加が確認されているため、おそらくその夜から9日にかけて
姿を消したものだと推測される。
家の中は、何日に留守にするつもりの様子もなく、まるで神隠しにあったとしか思えない状態だった
と報告。神隠しの言葉にざわめく捜査員たちにキイナは、神隠しで噂話になった話や、
実話から作られたハーメルンの笛吹き男を例に挙げ、突然、大勢の人がいなくなるのは
起こりえるかも…!?と話した。
そんな中、高橋から犯行声明の手紙に付着していた指紋を照合したところ、差出人は、
風見団地に住む、清掃員勤務の後藤栄一(八十田勇一)だと判明したという。
雅は、後藤を重要参考人として捜査一課が追跡、奇相は類似事件の捜査、他の捜査員たちには、
本件を実行しそうなテログループ及び犯罪組織をピックアップするように指示した。
早速、捜査一課は、後藤の追跡が始まった。
後藤には、傷害の前科があり、住民の話しによると、かなりのトラブルメーカーだった。
後藤の家を捜査する捜査一課。後藤の履いている靴に着目したキイナは、極端に左足のかかとだけ
すり減っていることが気になっていた。
そんな中、ベッパンのキイナとタケルは、雅から後藤の勤め先に聞き込みするよう指示され、
そこに向かう途中、キイナは、タケルに後藤は犯人じゃないような気が…と話す。
普通犯人は、疑われないようにするのに、指紋を残していたことが気になるキイナは思考を巡らす。


キイナとタケルは、立慶大学の清掃員である後藤と一緒に働く清掃員たち(ふくまつみ、飯口美穂、
下川江那、望月晶子)に聞き込みすると、清掃員たちは、問題を起こしている後藤を快く思っていな
かった。後藤が何処へ行っても評判が悪いことから、タケルは犯罪組織の実行犯かも…というが、
キイナは、タケルの話も聞かず、認知心理学の授業をする教室に進入。
そこで授業をしていた教授の小早川政則(加藤雅也)に興味を抱いたキイナは、認知心理学の研究を
行う心理学者である小早川に聞きたいことがあるという。キイナは、小早川の本を速読で全て
読んでいて、『あなたが騙される理由』という小早川の本にUFOの攻撃や心霊写真も認知心理学
説明できると書かれてあったところに興味を持ったのだ。そんなキイナに小早川は、
超常現象というのは、人の体験談からくるものばかりで、現象に惑わされず目撃者や体験者の心理を
見れば答えは見つかる。行き詰まったら見方を変えて見る。そうすれば、世の中の大抵のことは解決
出来ると話した。
それを聞いたキイナは、後藤のことで小早川に聞きたいことがあるという。
後藤の部屋に小早川の本を見つけていたキイナは、後藤と小早川が親しくされていたのではと尋ねる。
すると、小早川は顔見知り程度だという。
キイナたちは、早川から後藤は問題が多く、態度が悪いことを聞き、研究室を去ろうとした瞬間、
大勢の人の心を操ることが出来るのかとキイナに問われた小早川は、出来るかもしれないが、
それを許されるのは神様だけなのではと返した。
小早川から話しを聞いたキイナだが、後藤の部屋には、競馬競艇やパチンコの本ばかりだったのに、
何故、小早川の本を持っていたのか?と疑問を抱く。
キイナとタケルが捜査一課に戻ると、夕実(さくら)とマキ(薗田杏奈)から支給される制服と靴の
引換券を渡される。そんな中、タケルは、靴底がすり減っていたから丁度良かったという。
すると、キイナは、靴底をすり減らす…とつぶやきながら、上半身を炎に包まれて焼死した男性の靴の
遺留品の写真や後藤の靴を思い出し、何かに気づく。


後日、キイナは、捜査一課の人たちに11日の朝に後藤が亡くなっていたことを話す。
DNA鑑定も一致し、下半身を炎に包まれて焼死したのは、後藤だというのだ。
後藤の部屋にあった靴底に引っかかっていたキイナは、同じ減り方をしている靴底を見ていたことを
思い出したという。それを見たのは、焼死した遺留品の写真だった。
そして、後藤が焼死した現場の監視カメラの映像から、後藤の背後にいた男性が、後藤の衣服に
火を点けていることがわかり、人体自然発火現象で焼死したのではないことを明らかにした。
後藤の衣服には、燃えやすくするために燃焼促進剤が付着していたことから映像に映るこの男性に
殺されたという。桜(小池栄子)からどうして殺されたの?と問われたキイナは、
この男性に利用されて風見団地集団失踪事件に手を貸した後藤が、口封じのため殺された…とか?
すると、服部は、後藤には多額の借金があって、金融会社にもうすぐデカイ金が入ると
いっていたという。このことから、キイナは、金のために雇った人がこの事件の本当の犯人
かもしれないというが、犯人を特定するのは、困難だった。


そんな中、キイナは、映像に映る男性の体型が小早川に似ていることから、
小早川が犯人のような気が…と発想する。
犯人は、どうやって300人もの人を誰にも気づかれずに連れ去ったのだろう?
無理やりではなく、自分の意思でいなくなったのでは…。
大勢の人の心を動かせたら出来るかも…と思考を巡らせつつも、キイナは、始めから事件を
見直す決意を固め、ほぼ全ての団地の住民たちが参加した映画鑑賞にヒントがあると風見団地の
自治会室にタケルを連れて確かめに行く。
その頃、捜査一課は、新しい情報を得ることが出来ず、この事件に大苦戦。
雅から後藤と犯罪組織の繋がりは浮かばれてこないと報告された御手洗は、
キイナにかけてみるかと雅に話しいていた。
一方、事件の日に上映された3本のDVDを見ることにしたキイナは、捜査を忘れて?夢中でDVDを見る。
『笑うハリケーン in NY』では大爆笑。『フランダースの犬』では号泣。
しかし、最後のDVD『naturering earth』を見て、キイナは何かに気づく。
風見団地の304人は生きている…。風見団地の住人の行方がわかったのだ。
その後、キイナは、タケルや捜査一課にその住人たちを任せて図書館に向かった。
大量の資料収集し、速読するキイナは、その資料から何かを見つける。
一方、雅を始めタケルたち捜査一課は、風見団地の304人を発見。全員の無事を確認した。


翌日、特別捜査本部でキイナは、マスコミには発表していないが風見団地の304人が無事に
発見され、警察病院で診察を受けていると捜査員たちに報告。
住人たちは、何者かに無理やり連れさられたのではなく、自らの意志で都心を離れ、
身を潜めていた。
サブリミナル効果の映像で洗脳された住民たちが、もうすぐ大地震が来ると信じ込み、
避難したのだという。
映画鑑賞で流された『naturering earth』の映像の中には、大地震が起こる、死など
恐怖のメッセージや渦巻き、振り子などの映像が何度も挟み込まれていて、
これは、人をトランス状態に追い込む効果があった。
そして、最後の映像にはある場所に行けば助かる、幸せになれるというメッセージに
洗脳された住人たちは、サブリミナル映像を見たという意識もなく、
自分の意志でもうすぐ大地震が来るからこの地図の場所に逃げようと行動したという。
そう話したキイナは、テロや犯罪組織ではなくたった1人の人間が姿を見せずに起こった犯罪
と断言。そして、キイナは、犯人は後藤ではないといい、説明する。
映画鑑賞の映像は、自治会が用意していたものではなく、上映前に後藤によってすりかえられた
ものだったが、これだけ効果のあるサブリミナル映像は、認知心理学について相当な知識を持って
いる人物でなければ作ることが出来ない。よって後藤は、その人物にお金で雇われたという。
その人物とは、立慶大学の小早川教授だった。
小早川は後藤をよく知らないと言っていたが、2人が会話している姿を学生や職員が何人も目撃
していた。日本中を探してもこれを出来るのは小早川だけだ。
おそらく小早川は、後藤を操り全ての犯行を指示し、口封じのために殺した。
そして、後藤の焼死現場の映像で映っている男性が小早川であることが証明できれば
後藤殺害容疑で逮捕できる。殺人罪が立証できれば、304人の人たちを洗脳した罪についても
問うことが出来ると話した。だが、手がかりはこの映像だけだった。
捜査員たちは、これだけでは犯人が証明できるわけがないとキイナに反論する。
そんな中、雅は、キイナにお前は、小早川が犯人と信じるんだな…。
そう問われたキイナは、ハイ。
すると、雅は、小早川を徹底的にあらえ、それが捜査本部の方針ですと捜査員たちに告げた。
早速、捜査一課の人たちとキイナは、小早川の捜査に取りかかる。
手がかりになるその映像に映る男性が着ていたジャンパーやジーンズは何処にでもあるもので、
特定するのは困難だった。
そんな中、何かに気づいたキイナは、ジーンズで証明できるかも…。


翌日、小早川の研究室の机に『naturering earth』のDVDが置かれてあった。
戸惑いながらもそれを見た小早川は、304人が避難した場所に向かった。
するとそこには、キイナが待っていた。そのDVDを置いたキイナは、小早川の真似をして、
風見団地の住民は見つかったというサブリミナル映像を作り、小早川を呼び出したのだ。
そして、キイナは、小早川を追い込む。
後藤を利用して、団地の住民をサブリミナル映像で洗脳し、失踪させたのは、
あなたですよね。あなたにしか出来ない完璧な犯罪です。でも、あなたは、1つだけミスをおかした。
後藤を口封じのために殺してしまった。
それを聞いた小早川は、馬鹿馬鹿しい、帰らしてもらうとその場を去ろうとする。
するとそこに、津田、花田、服部が現れ、早川をガード。そして、雅やタケルも現れた。
キイナは、小早川に焼死した現場の映像をコピーした写真と、ゼミの生徒から借りてきた写真を
見せ、2枚に写っているジーンズが同じものであるという。
それを否定する小早川に根拠を聞かれたキイナは、過去の事件を例に挙げ、ジーンズの縫い目が
同じものはないことを思い出し、2枚に写るジーンズを科捜研に照合してもらい、合致したという。
よって、あなたは後藤を殺した犯人ですと小早川に問い質すキイナだが、団地の人を洗脳させ、
失踪させた動機がわからないという。
すると、小早川は、実験です。全て価値のある実験だったと話し始める。
人の心をどれだけコントロールできるのか試したくなったという。
マスコミに犯行声明を送り、300人もの人がいなくなった時、世間がどう反応するのか…。
動機を聞いたキイナは、人の心を弄ぶなんて楽しいですか?
小早川は、楽しくなんかない。だが、最近は何処に行ってもろくな人間がいない。
そんな人間が増えていったら未来はどうなります?私が愚かな人間を正し、価値のある未来を
作るしかない。私は、世界を変えられる…。
あなたは、神にでもなるつもりですか?というキイナ。
小早川は、宗教家ではない。ただ、人の心を容易く操り支配する者のことを神と言うなら、
そうなのかもしれない。だから、君は、私を逮捕するべきではないという。
それを聞いたキイナは、あなたは、心理学については詳しいが、人の心については何も
わかっていない。
私もどんなに本を読んでも人の心は謎だらけで解明できない。でもわかったことがある。
突然、誰かの手によって幸せを奪われた時、奪われた本人と周りの人が、どんなに不安で
切ない思いをするのか…。誰かにそんな思いをさせる人間を私は絶対許せないと話した。
そして、キイナは、小早川がしたことは、価値のある実験でもない、只の犯罪だと告げた。
すると、雅は、お前がかけろとキイナに指示し、手錠をさし出す。
その行為に驚きながらその手錠を受け取ったキイナは、あなたを後藤殺害容疑で逮捕します!
と小早川に手錠をかけた。


その後、風見団地の住人は普段通りの生活に戻った。
事件が無事に解決できたことでキイナと真一郎はお互いに褒めあい、
真一郎はキイナに莉子たちも一緒に今度、食事でも…と誘う。
いつもそういう話をする時、既にいないキイナだが、今回は、真一郎の話しを聞いていた。
そしてキイナは、はい、喜んでと笑顔で答えた。


キイナは、超常現象や奇跡を信じながらベッパンとしてタケルと事件の捜査に取り組むのだった。



最終回でしたが、最終的に、雅はキイナを信じたということですね。
しかし、キイナはすごかった。
一瞬で、現場の状況を把握し、速読や閃き、そして鋭い観察力・観察眼で事件を解決していった
んだもん。
最後の最後まで、大活躍でした。
終わっちゃったょ…。・゚・(ノД`)・゚・。