月曜日のドラマ 『ヴォイス 命なき者の声』

『ヴォイス 命なき者の声』第10話



作家・桜井真也(田村亮)のカルテに不審な点を見つけた亮介(生田斗真)は、
真也の死に納得いかず亮介の父・貴之(名高達男)のことを疑い始める。
そんな亮介は、真実を知るために真也の死に疑いを持つ桜井の妻・瑠美子
麻生祐未)に遺体の解剖を勧めた。


東凛大学の法医学研究室に石末総合病院で亡くなった真也の遺族・瑠美子から
承諾解剖の依頼がきた。死因は、癌性腹膜炎から腸閉塞を起こされたと
されていたが亮介に勧められた瑠美子は信疑を確かめようと決意したのだ。
大己(瑛太)、亮介(生田斗真)、佳奈子(石原さとみ)、哲平(遠藤雄弥)、
羽井(佐藤智仁)たちゼミ生は、解剖室に運び込まれた真也の遺体と対面する。
解剖を担当した佐川(時任三郎)は、死因とされた腹膜炎は見られるが、
腸閉塞は見られないと診断。玲子(矢田亜希子)は、病気以外の死因が
絡んでいるかもしれないと言い、異状死の届け出をする。
玲子の言葉に大己、亮介、佳奈子、哲平、羽井たちゼミ生は衝撃を受ける。


東凛大学で真也が解剖されたという情報は、石末総合病院の院長・貴之と
主治医・梅木誠(福井博章)の元にも届いていた。
それでも、貴之は自分たちの処置は正しかった、法医学の解剖だけでは、
全ての真実が分かるわけではないと自信を覗かせる。


玲子は、刑事の大和田(山崎樹範)に胃癌と肝臓、脳に転移癌が見つかったが、
死因とされていた癌性腹膜炎は、死に至るほど重篤なものではなかったと報告。
死因は、所蔵器の所見から抗がん剤による副作用があったと推測されるという。
佐川と玲子は、真也が医療ミスで死に至った可能性はあるが、
死因との因果関係が考えられるシスという抗がん剤の過剰投与があったかどうかは
はっきりしないという。医療ミスだと立証するには、病院側に過失があったという
明確な証拠が必要だった。
だが、医療ミスがあっても医師側が情報を隠蔽する可能性があり、
病院側から真相を知るのは至難なことだった。
医療ミスかもしれないのに病院側の証言が得られなければ泣き寝入りすることに
なってしまう。解剖して真実がわかるはずじゃなかったの?と亮介に問いつつ、
解剖したことを後悔する瑠美子は、泣き崩れるのだった。
そんな瑠美子の気持ちを知った亮介は、解剖を勧めた責任を感じて落ち込み、
解剖すれば全てがわかると思っていたゼミ生たちも、その気持ちに共感する。


後日、真也の邸宅に瑠美子を訪ねた大己は、死因が特定できなかったのは
残念なことだが、父親が経営する病院の医療ミスを暴こうとする亮介の覚悟
が並大抵ではなかったことを少しだけでもわかってやってほしいと訴える。
瑠美子は、気が動転していて亮介に申しわけなかったと思っていた。
そんな瑠美子は、亮介に謝っておいてほしいと頼む。
瑠美子の思いを受けた大己は、真相を究明しようと瑠美子に真也のことを尋ねる。
すると、真也が胃癌の名医がいた病院から急に石末総合病院に移転すると言い出
していた。
そして、真也愛用の大量の同じボールペンや最後に作家で書いた作品と思われる
18金と書かれてあったメモを見た大己は、18金を日付と推測し、
カレンダーを見ながら思考を巡らせる。


解剖を勧めて後悔している亮介は、父親を裏切ることになっても
解剖すれば医療ミスをすればはっきりすると思っていたが、
疑惑が深まっただけで、自分の考えの甘さと無力さに呆れていた。
玲子は、解剖を勧めた亮介の選択は、法医学者として正しかったと
思うと励ます。
玲子の言葉を受けた亮介は、ここで躊躇したら親父にはむかってまで法医学
を続けた意味がない、親父に関係していることだからといって逃げたくない
という思いが深まり、困難な医療ミスを立証しようとある場所へと向かう。


その後、病院の駐車場で待ち伏せしていた亮介は梅木を呼び出し、
真也が亡くなった前日に抗がん剤のシスが投与されたと聞いているが、
カルテには処方の痕跡がなくなっていた。
真也はシスの過剰投与で亡くなくなったかもしれないのに、貴之が証拠の
カルテを隠蔽したのではと迫る。
しかし、梅木は、シスの投与は適切だったと譲らない。
亮介は、梅木の前の主治医で、現在は仙台の病院に勤務する三條(二階堂智)に
連絡を取り、電話をもらう約束をするが返信がない。
気落ちする亮介を見た彰は、鳳子(濱田マリ)から借りたバイクの後ろに
亮介を乗せ仙台へと走る。
仙台第一病院に到着し、ようやく、三條に会えた亮介は、三條から腎機能障害の
あった真也にシスは絶対に投与できない抗がん剤だったと聞く。


翌日、病院に貴之を訪ねた亮介は、三條から聞いたその情報が梅木に
伝わっておらずシスを投与してしまったことが死因で、それを隠すために
カルテが改ざんされたのだろうと言い、医療ミスを認めてほしいと訴える。
一方、大己と佳奈子は、蕪木(泉谷しげる)の手伝いをしていた哲平から、
解析結果を見せられる。癌治療で通常量より多いモルヒネが投与されていた。
大己は、医療ミスの疑いとモルヒネが関係している…と思考を巡らせる。
その時、羽井に呼ばれた大己たちがテレビに向かうと、貴之は記者会見を開い
ていた。真也に不適切な抗がん剤の投与があった上、自分がカルテを改ざんしたと、
医療ミスを認めるコメントを出す。
謝罪会見を見ていた大己は、貴之の胸ポケットに挿さっているボールペンが、
真也愛用のものと同じであることに気づく。何かを感じた大己は貴之の経歴を調べ、
貴之が真也と同じ長崎県出身だったと知る。


その後、大己は、学生時代に真也が住んでいた長崎県人寮を訪ねる。
そこで、管理人(品川徹)から当時の部屋の見取り図を見せられた大己は驚く。
なんと、貴之と真也は、寮で隣同士の部屋に住んでいたのだ。
しかも、2人は親友同然だったという。
そのことを知った大己は、これまでの真也の情報を思い浮かべながら発想し、
最後の別れだったんだ…と何かに気づく。


早速、瑠美子を連れ石末総合病院を訪ねた大己は、亮介と貴之と対峙すると、
真也の死因は医療ミスではなく、尊厳死だったのではないかと切り出す。
胃癌の名医の元を去り貴之の病院に来たのは治療のためではなく、
かつての親友の手で死を迎えさせてもらうためだったのだろう言うのだ。
それを聞いた貴之は、ついに重い口を開く。
余命1年と診断され、書くこともままならなくなった真也は、
自分の1番のファンでいてくれる瑠美子のためにも無様な姿をさらしたくないと
尊厳死を願っていたのだ。桜井真也として死にたいという親友・真也の願いが
わかる貴之は、それを了解。
その際、自分の生きた証だといい、真也愛用のボールペンを渡されたのだ。
すると、大己は、最後の勝負、どっちからやろうと言い出したんですか?と問う。
そんな大己は、管理人から真也と貴之が将棋をやっていたこと聞き、
18金と書かれたメモの意味がわかったのだ。
そのメモは、いちはちきんと読み、封じ手と言って勝負を中断する時に、
次に指す手を紙に書いて保管するためのものだった。
貴之は、将棋を指せる状態ではなかったが真也に誘われて将棋を指し、
その時、真也は、お前に出会えてよかった。勝負の続き、今度またゆっくり
やろうなと最後に貴之に話したのだった。
そして貴之は、主治医にも話さず、1人で画策したのだという。
全ての責任は自分にあると瑠美子に向かい、深く頭を下げる貴之。
そんな貴之に瑠美子は、真也のわがままに最後まで付き合ってくれたと
感謝の言葉を述べ、真也の残した18金のメモを渡した。


数日後、亮介と貴之は警察署の前に降り立つ。
貴之は、中まで同行しようとする亮介を断り、1人警察署に向かい歩き出す。
その背中に亮介は、医師としては最低だったかもしれないが、
自分は最高の父親だと思っている、だからこそ、貴之を超えられるような
人間になると声をかける。
貴之は小さくうなずくと、背を向けたまま歩き出す。
そんな貴之の目には、涙が滲んでいた。


一方、加奈は、食堂でまたカレーを注文していながらも、あんまり好き
じゃないと矛盾する大己と言い争う。
そこにやってきた亮介、哲平、羽井。
亮介を心配する大己は、目と目で亮介と会話し合い、2人は笑みを浮かべ合う。
そして、ゼミ生たちは、仙台のお土産の牛タンで盛り上がるのだった。



第10話でしたが、真也の死の真相は、亮介の父・貴之が親友の真也にお願いされて、
画策し、真也の死に至ったということだったんですね。
貴之は親友の真也の頼みとはいえ、医師として、やってはいけないことをしてしまった。
でも、亮介は、心を痛めながらも画策した貴之の気持ちを理解し、
最高の父親だと思い、そんな父親を超えたいなんて、本当に父を尊敬しているいるんだね。
いい親子関係です。
亮介は、尊敬する父の病院を継がず、このまま法医学の道に進むのかな??