月曜日のドラマ 『ヴォイス 命なき者の声』

『ヴォイス 命なき者の声』第11話 最終回



親友の頼みで尊厳死に協力し、医師としてやってはいけないことをしてしまった
貴之(名高達男)は、けじめをつけるために石末総合病院の院長を辞めた。


東凛大学の法医学研究所で大己(瑛太)は、最近、パンばかり食べている佳奈子
石原さとみ)に疑問を抱く。
シールのポイントを集めるとオシャレ小鉢が10個もらえるからパンを食べているの
と嬉しそうに話す佳奈子を非難する大己は、佳奈子とシールを集めて小鉢をもらうことで
言い争う。
そこに亮介(生田斗真)、哲平(遠藤雄弥)、羽井(佐藤智仁)たちがやってくる。
2人の言い争いを聞いた哲平も小鉢があっても料理なんかしないと大己同様、佳奈子を批判。
そんな佳奈子は、不満そうにしながらも何も言い返すことができなかった。
その夜、哲平のマンションに行った大己、亮介、羽井たちゼミ生は、法医学のゼミの打ち上げの
話をしながら、仲間との別れを惜しんでいた。
その頃、佳奈子は海外研修に一ヶ月間アメリカに留学するため研究室に残ってレポートを書いていた。


翌日、東凛大学の解剖室で大己、亮介、佳奈子、哲平、羽井たちゼミ生は、胸部をナイフで
刺されて死亡した成瀬喧一(ダンカン)と対面。
大和田(山崎樹範)は佐川、玲子、ゼミ生たちに遺体の詳細を報告する。
成瀬44歳、運送会社の配達員で妻との2人暮らし。
昨晩、住宅街の公園で胸をナイフで刺されて死亡した。
刺したのは坂田潔美(今野成美)という女子高生で、ナイフを持って襲い掛かってきた成瀬
ともみ合ううちに刺してしまったと潔美は正当防衛を主張。
潔美の体にもみ合ってできたと思われる傷があること、また、過去に成瀬が強制わいせつ事件
で逮捕されていることからも、潔美の主張は正しいと思われる。
潔美が東凛大学の理事長の親戚で、理事長から警察署長宛にくれぐれもよろしくと連絡があった
らしいと話す。
遺体解剖の作業をする佐川(時任三郎)と玲子(矢田亜希子)の手伝いをする佳奈子と羽井。
解剖結果、成瀬の死因は、肺損傷による外傷性穴居に基づく出血性ショックと判断。
ところがその後、大己たちは、玲子から佐川が潔美の正当防衛説に疑問に呈し、
大和田にもその方向で捜査を進めたほうがいいと助言したと聞き驚く。
潔美は大学の理事長の親戚であるため、佐川の判断を知った理事長は激怒。
他の大学に再解剖の依頼を出す。教授たちの間では、その鑑定結果次第で佐川の進退問題に
発展するのではないか、と噂が流れる。
事情を聞いた大己は、もみ合って刺さった成瀬の刺し傷が一箇所だけなのはおかしいことに気づき、
現場に行ってみない?と亮介たちを誘う。
その言葉を聞いた亮介たちは微笑む。
そんな亮介たちは、、法医学ゼミ生の仲間との別れが近づき、大己のその言葉が聞けなくなること
を残念に思いながら全員で現場に向かった。


その現場で大己たちは、成瀬と同じ職場の社員(ガダルカナルタカ)から
成瀬の起こした3年前の事件後、成瀬が心を入れ替えて一生懸命に仕事に取り組んでいたことや
成瀬の妻も事件のことを承知して結婚していたことを聞く。
その後1人で図書館に向かった大己は、成瀬が起こした3年前の事件を調べるうち、
そのときの被害者と潔美の共通点を見つける。
そんな矢先、大己たちは蕪木(泉谷しげる)から他の大学の教授が正当防衛を支持する
鑑定結果を出したと報告を受ける。
これにより、佐川は教授会にかけられてしまった。
心配するゼミ生に囲まれた佐川は、自分も大己たちと同じタイミングで法医学教室を去ることに
なりそうだと告げる。大己たちはゼミ生としての勉強期間を終え、それぞれの道を選択する時期
になっていたのだ。
今後の進路をどうするか、法医学を続けるか辞めるか、ゼミ生らの脳裏にはさまざまな思いが
よぎっていた。
亮介は父親の病院を継ぎ、佳奈子はアメリカ研修へ、哲平は科学警察研究所を目指し、
彰は法医学を続けることを決めるが、大己は進路を決めかねていた。


そんな中、大己は亮介たちと話しながら正当防衛説を否定する佐川の主張を検証。
意識を集中し考えるうち、大己は何かが偶然ではなかったことに気づき、ある結論にたどり着く。
そして、研究室を飛び出すと、佐川の進退について協議が行われている会議室へ走る。
まさに会議が終わったタイミングで飛び込んだ大己とそれを追ってきた4人。
そこにいた医学部長に向かい大己は、佐川は間違っていないから辞めさせないでくれと訴える。
そんな大己は、潔美に殺意があったと告げ、成瀬の体の刺し傷にもみ合ってできたとは
思えない不自然さがあること、潔美の手首の傷についても本人の供述どおりではありえないこと
を説明。
ところが、医学部長は、問題なのは佐川の主張の正当性ではなく学生の自主性を重んじ過ぎる
教育方針で、大己のような学生がその象徴だと冷たく言い放つ。
それを聞いた佐川は、自分の教育方針が間違っていたとは思わないし、未熟な学生が情熱の
あまり枠をはみ出すことは無駄なことではないと反論。
しかし、その言葉は受け入れられなかった。
その後、大己は出過ぎたことをしたと佐川に謝る。
そんな大己に佐川は、教え子が自分をかばってくれたことを教師冥利に尽きると
笑顔を見せる。
大己は、刺された成瀬は15分程度息があったが、あえて助けを求めようとせず、
死を受け入れようとしていたのではないかと自分の見解を述べる。
すると、佐川はそれを認めるように黙ってうなずく。
そして、大己の推理は正しいかもしれないが、法医学者には想像するだけではなく、
それを裏付ける事実を立証することが必要だと諭す。
その頃、大和田から取調べを受けていた潔美が殺意を自供。
潔美は、成瀬が起こした事件の被害者の親友で、事件後、親友は自殺してしまったのに
不起訴となり結婚し幸せに暮らしている成瀬が許せなかったというのだ。
一方、実験室に戻った佐川は、玲子と蕪木に法医学教室の今後を託す。
佐川の後任には誰が来るのか?と問う玲子に佐川は、ここにいると玲子を指差す。
驚きながらも玲子は佐川の教えを胸に精一杯頑張りますといい、引き受けた。


その日の夜、ちゅらちゃんで大己たちゼミ生は、佐川のもとで学んだゼミの思い出と
これから歩んでいくそれぞれの将来を祝して打ち上げパーティーを行った。
その帰り道、亮介たちに2人きりにされた大己と佳奈子。
突然、大己は目を閉じてと指示され、言われたとおりに佳奈子が目を閉じると、
大己は佳奈子に近づき、顔をジーと見つめる。
すると、大己は、佳奈子の顔にシールを3枚顔に貼り付け、只今の顔の得点3.5点と笑顔で叫んだ。
そのシールは、佳奈子が小鉢欲しさに集めていたシールだった。
小学生のような行動をする大己を見た亮介は、せっかく2人きりにしてやったのに俺たちの気持ち
わかってるのと大己を責めた。


後日、佐川に呼ばれた大己が教授室を訪ねると、佐川は覚えているか?と言って
15年前の地下鉄事故に関する新聞記事を見せる。現場にいたから…と頷く大己に、
実は自分もそこにいたのだと佐川。
当時、法医学者になるべきか?臨床医になるべきか?と迷っていたときに出会った
小学2年の大己(加藤清史郎)の死んじゃった人に、お医者さんはいらないの?という一言に
目が覚める思いがし、亡くなった人の力になれる法医学者になる決意をしたというのだ。
そして、短い間だったが、大己と法医学をやれてよかったと感慨深げに話す。
その言葉に心が決まった大己は、法医学を続けると宣言。
佐川は、大己が法医学に向いていると思った自分の目に狂いはなかったと笑顔を見せ、
笑い合う2人。
そこにやってきた玲子から大和田から行政解剖の依頼が入ったと報告された佐川は、
その依頼を引き受け、大己たちとの最後の解剖作業となった。


解剖室に入ると、佐川は、大己たちゼミ生に解剖室に入ったら個人的な感情を一切捨て、
遺体のことだけを考えるようにと告げた。
大己は、佐川から法医学を学びわかったことがあった。
医学とは、消えゆく命を救うため、死を先延ばしにするために存在する
のだと思っていたが、失われた命から発せられた声に必死に耳を傾けようとする
法医学があったということを…。


翌日、亮介、哲平、彰は、それぞれの新しい道を歩き始めていた。
そして、玲子は新任講師としてはりきり、蕪木はいつもと同じように実験に打ち込み、
佐川は新しい大学(鹿児島中央医科大学)の門をくぐり、法医学の講師を続ける。
一方、アメリカに旅立つ佳奈子を見送った大己は、大学に戻りキャンパスに立っていた。
法医学に対する思いを新たにする中、空を見上げる大己。
素晴らしい青空の中、その視線の先には滑るように飛ぶ飛行機が…。
まぶしそうに飛行機を見つめながら、大己はすがすがしい笑顔を見せるのだった。






最終回でしたが、ゼミ生たちはそれぞれの新しい道に歩き始め、はっきり進路が
決まっていなかった大己は、佐川の言葉で法医学を続けることにしたんですね。
みんなバラバラになってしまったけど、ゼミの仲間は法医学意外にも青春してた。
きっと、大己は、抜群の勘の良さ、自由な発想力、高く秀でた観察力・観察眼で
これからも命なき声を聞き、それを遺族へ伝えていくんだろうなっ。
大己と佳奈子の間で一波乱?あるかと思ったけど、お互い口には出さず、
お別れ…なんかそれがまた良かった。
しかし、最後まで大己の推理は凄かった…。